読書備忘録ーロマンチックな回覧板をまわす

これまでに読んだ本の感想をこっそりと書いていく予定 ロマンス小説多めでかなり偏りと多少のネタバレがあります

「菫色の空へ」クレスリー・コール

 前回の「もつれた蜘蛛の巣」がけっこう暗めのトーンで終わってしまったので、エロ満載(!)のクレスリー・コールのローア・シリーズで明るくしたいと思います。

ただし私はこの話のヒーロー・カデオンの女の趣味に関しては、ちょっとどうなのかなーと異議を唱える派です。しかし世の中には「蓼食う虫も好き好き」ということわざもあるくらいなので、何とも言えないかなぁ。

菫色の空へ (ソフトバンク文庫)

菫色の空へ (ソフトバンク文庫)

 

 あらすじ

デーモンの傭兵カデオンは、自分のせいで兄の王国が魔道師の手に渡ってしまったことを悔いながらヴァルキリー、九百年ものあいだ、その魔道師を倒す手段を探していた。そしてついに見つかったその方法とは、彼の運命の女ホリーを別の魔道師に差し出すことだった。最後は裏切ることになると知りながら、カデオンはホリーとともに魔道師のもとへ向かう。はたしてふたりの旅に未来はあるのか…波乱の展開が待ち受ける「ローア」シリーズ第5弾。

 

デーモンであるカデオンの運命の女性、ホリーは本来は凶暴なヴァルキリー(戦乙女)なのですが、人間に育てられたため自分がヴァルキリーであることを知りません。荒ぶる凶暴さを強い意志の力で無理やり抑え込んで、その反動のせいで相手かまわず秩序の正しさを求めます。つまり他のローア・シリーズのヒロインたちのように、自分の欲望に忠実で楽しく生きているタイプでははないのです。そしてなにかというとカデオンにキーキーと文句をつけるのですが、カデオンはホリーに夢中、なぜなら彼女がカデオンの運命の女だから。

この運命の女設定自体は作者のクレスリー・コールが決めたことなので、いち読者がもの申す権利などありません。しかし私は、もともと自分の欲望をごまかすためにギャンギャン声を荒げるタイプの女性が苦手なのです(でも「オレがいないと!」ということで、このタイプは男性の受けが良かったりする)。

また当然ですがクレスリー・コールなので、今回もエッチなシーンは充実しています。中盤以降2人は大陸を車で横断するのですが、車で700㌔移動するごとにエッチなことをするという契約を交わします。なぜ?それはローア・シリーズだから!!

カデオンは「鏡のなかの魔女」の時も、さりげなくセクシーな感じで存在を主張していたので、どういう女性と結ばれるのかと思っていました。まさかの禁欲的な女性(プラスめがね萌え)に夢中になるタイプとは...。まぁその反動といっては何ですが、ホリーはヴァルキリーとして覚醒後に物凄いパワーを発揮して、ほぼ一人で敵を倒してしまいます。そこの場面でカデオンは、ほとんど活躍していませんでした、ヒーローなのに。(うーん、それでいいのだろうか?)