「恋の香りは秋風にのって」リサ・クレイパス
「壁の花」シリーズ第2弾。もうこれは、超ロマンチックとしか言いようがない話です。あらすじだけ読むと、戸惑うふたりってなんだよ!魔法の香水ってなんだよ!という突っ込みが頭をよぎりますが、本編はロマンス小説としてはパーフェクトかもしれません。イギリス貴族のウェストクリフ伯爵にとって、自由奔放なアメリカ令嬢のリリアンは腹がたって腹がたって仕方のない存在のはずとか、読んでるこっちが恥ずかしくなるくらいにどこもかしこも恋愛フラグしかたってないです。
- 作者: リサクレイパス,Lisa Kleypas,古川奈々子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2006/11/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
あらすじ
19世紀の英国。アメリカ人新興実業家ボウマン家の長女、リリアンは、家族と一緒に、数週間におよぶウェストクリフ伯爵のハウスパーティに招待されていた。香りに強い感受性を持つリリアンは、出発前に、香水商で、理想の恋人と出会えるという「秘密の香水」を手渡される。パーティの主催者は広大な地所、舘の主、ウェストクリフ伯爵。美貌の青年貴族だが、高慢で堅苦しく、どうにもリリアンの気に障る。それはウェストクリフ伯爵も同様で、無作法なリリアンが不快だった。ところがある日、ウェストクリフは、ものかげでリリアンと2人きりになったとき、リリアンを抱きしめキスしてしまう。戸惑うふたり。これは、「魔法の香水」のせい?それとも・・・?
この話は、尊大なウェストクリフと気持ちがよいくらい自分に正直なリリアンがどうしようもなく惹かれあうのを、文字通り作中人物と読者の全員でニラオチする話です。リリアンの親友である前回の主人公アナベル(「ひそやかな初夏の夜の」)も、途中からニヤニヤしてますね。つい「私も同じ気持ちだよ、アナベル」とか言いたくなってくる。
それから最後の数ページにリサが仕掛けた第3弾へのしかけも、手練れとしか言いようがありません。