読書備忘録ーロマンチックな回覧板をまわす

これまでに読んだ本の感想をこっそりと書いていく予定 ロマンス小説多めでかなり偏りと多少のネタバレがあります

「悪魔の花嫁」デボラ・シモンズ

 デボラ・シモンズは、私がハーレクインを読みだした、ごく初期のころに気に入って読んでいた作家です。騎士と美女が出会って恋に落ちるというベッタベタな話が多いのですがヒストリカル分野での非常に人気が高く、ありがちとも言える恋物語に読者を引きずり込んで読ませる力が非常に強い作家でもあります。

この話では、終盤に“奇跡”がおきます。そういった展開を含めて、デボラ・シモンズの書く話はどこかおとぎ話のようなテイストを備えている気がしますね。

悪魔の花嫁 (ハーレクイン文庫)

悪魔の花嫁 (ハーレクイン文庫)

 

 あらすじ

国王に結婚を命じられたエイズリーは、抑えきれない恐怖を胸に、嫁ぎ先へと旅立った。夫となるのは悪名高き“赤い騎士”―荒れ果てた地で暮らし、決して人前に出ないという。たどりついた先は想像よりもはるかに異様な、暗闇に沈む城。あまりの暗さに、花婿の顔さえ見えない。だが陰鬱な礼拝堂で結婚の誓いを交わしたとき、突然エイズリーは不思議なときめきに襲われた。温かい胸、心地よいキス…わたしは悪魔に魅入られたの。

 

 

ヒロイン・エイズリーは、白に近いブロンドの髪をした気の強い美人さんです。人に言えない“ある理由”のため姿を見せようとしない赤い騎士ことヒーロー・ピアズは、出会ってすぐ彼女に夢中となりますが、この展開はヒストリカルのお約束!官能シーンは、激しくはないしっとり系です。

この話を要約すれば、「苦難を乗り越えた2人は、いつまでも幸せに暮らしました」でしょうか。あらすじだけならば、別に何ということはない話ですが、読んでいると不思議なくらい乙女チックに胸がときめくんですよねー。不気味な城の描写が上手いのか、はたまたピアズの造形が魅力的なのか、エイズリーのツンデレぶりがキュートなせいなのか...。

要所要所に神の化身と思われる真っ白な鹿が姿を表わしますので、やはりおとぎ話だと捉えた方がしっくりくるような気がします。