読書備忘録ーロマンチックな回覧板をまわす

これまでに読んだ本の感想をこっそりと書いていく予定 ロマンス小説多めでかなり偏りと多少のネタバレがあります

「雨上がりの恋人」エリザベス・ホイト

 エリザベス・ホイトのプリンス三部作の1作目「あなたという仮面の下は」に続く、第2作目です。一言で表現するならば、とってもロマンチックな話と言えばよいのかもしれない。伯爵の長女ジョージナと土地差配人ハリーの、身分違いの恋の話です。なんか私はこの話、かなり好きかもしれない。なんでだろうか?

雨上がりの恋人(ライムブックス)

雨上がりの恋人(ライムブックス)

 

 あらすじ

8世紀の英国。伯爵の長女ジョージナの前に現れたのは、謎めいた土地差配人ハリー。彼女が相続した領地からの知らせを届けにきたのだ。ジョージナは彼と共に急遽ヨークシャーに向かうが、途上で雨に見舞われて馬車が横転。ハリーが身を挺して守ってくれたため怪我こそなかったものの、迎えを待つ間ふたりきりで夜明かしするはめに。しかし、こんな状況でも冷静で、常に紳士的なハリーに彼女は心を動かされる。やっとのことで領地にたどり着いたジョージナを待っていたのは、思いも寄らぬ事件だった。しかも、ハリーがその犯人であると疑いをかけられているという。真実を探ろうとするうちに、ジョージナは彼の秘密を知り…。

 

話の筋は上記の通り。ジョージナはいわゆるわかりやすい美人ではないが聡明で個性的な魅力を持つタイプ、ハリーは無口で実用性を重んじるタイプ(つまり仕事が有能ってこと)。どうやら私は、身分の高い知的な女性とおしゃべりではないけれど頼れる男性という組み合わせに萌えるみたい。しかもジョージナは、エッチに積極的(エリザベス・ホイトヒロインですから)で、自分から仕掛けていく女性でもあります。

 このハリーは、「あなたという仮面の下は」に出てくる伯爵エドワードの農業友達なので、最後の方にはエドワードも登場しています。文中の家畜殺しのミステリー及び殺人事件に関しても、程よいという書き方は可笑しいのかもしれませんが、悲劇を含みつつ明快すぎない解決を見るという意味でも私好みの話だと思う。

しかし何と言ってもジョージナの心根の健やかさみたいなものが、このカップルをきちんと支えていくだろうと思わせてくれることに読み応えを感じたことは確かですね。エリザベス・ホイトといえばもちろん毎回濃厚な官能シーンが期待できるのですが、ロマンス小説にとっては官能シーンだけではなく、文字通りロマンチックが不可欠なのです。やはり読者としては、2人がロマンス(+エロ相性)によってしっかり結ばれたと信じさせて欲しいんですよ。以前感想を書いた「ガラスの家」のカップルみたいに、ヒーローのどこがいいのか私にはさっぱり理解できずに、ヒロインの忍耐力が切れたら突然別れるんじゃないと疑いが残るモヤモヤハッピーエンドではないことが、特に今回はホイトの一番良いところだと思いましたね。