「満月の夜に」クレスリー・コール
クレスリー・コールのローア・シリーズ、第1巻ですね。シリーズの始まりにふさわしく、ライキー(人狼)の王ラクレイン(美形)が派手に登場、存分に活躍しています。お相手のヒロイン・エマは、妖精のような姿をしているヴァルキリー(戦乙女)ですが、ラクレインの持つ激情に付き合わされてお気の毒としか言いようがありませんでした。
シリーズを通じてカップルを繋いでいる運命の伴侶という設定があるのですが、言葉の響きはロマンチックなのに、実際は伴侶を追い求めるラクレインにがっつり付きまとわれているエマの災難といったら...。いやー、全てを運命の伴侶だからで押し切られたらやってられへんわーと、ロマンチックにひたるどころか関西弁(私は愛知県出身)でガンガン抗議したくなるような迷惑っぷりでしたねー。ローア・シリーズ限定で、ロマンチックは(文字通り)命がけということわざを進呈したくなりました。
- 作者: クレスリー・コール,松井里弥
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2008/10/17
- メディア: 文庫
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あらすじ
ときは現代。不死の者たちは人知れず実在していて、“ローア”という社会を作り、人間たちにまぎれて暮らしていた。ヴァンパイア(吸血鬼)の父とヴァルキリー(戦乙女)の母を持つエマは、自らの出生の秘密を探るためひとりパリへ向かう。生まれて初めての土地で“ローア”を見つけられずに衰弱していくエマ。そんな彼女を何者かが襲う。それは、彼女を運命の“伴侶”と悟ったライキー(人狼)の王ラクレインだった…2007年度RITA賞受賞作。
前半は「ラクレイン、ちょっと落ち着こうね」といいたくなるストーカーのごとき振る舞いでしたが、(もしくはストーカーというよりただの犯罪者か?)後半は2人ともお互いがお互いに慣れて(エマ、それでいいの?と割と納得がいってない私)心を通じ合わせています。その後花嫁として覚醒したエマがパワーアップ!、最後にばっちり決めて、綺麗に終わりましたね。
主人公のカップルだけではなく他の脇役も魅力的です。例えば皆を混乱させる預言者のヴァルキリー・ニクスが出てくるシーンは、物語の良いアクセントになっていると思いますね。ニクスは第5作目の「菫色の空へ」でもかなり活躍しています。(ニクスは嘘と予言を程よく混ぜたことしか言いいませんが)
それから「時の扉を開いて」ハンサムで礼儀正しいストーカー兼下僕であるセバスチャンと恋に落ちる予定のケイドリンも登場しています。
忘れてはいけないのがエロティック・シーン!ラクレインはライキー(人狼)なので、変身は必須!ケモノですよ、ケ・モ・ノ!でもエマも負けてはいません(って格闘技かよ!)。激しいことこの上ない初合体は、ロマンチックなんぞどこかに吹き飛ぶとしか言いようがなかったです(体力って大事なんだなとしみじみ)。トータルとしてシリーズ1作目にふさわしい、麗しのカップルだと思いました。